たらこな日々

Being in the "Now"

『ニュー・アース 第5章』ペインボディ 私たちがひきずる過去の古い痛み

全米で580万部を突破した「ニュー・アース 意識が変わる世界が変わる」の内容を各章ごとにお伝えしてまいります。

作者のエックハルト・トールについて...

エックハルト・トールはドイツ生まれでカナダ在住のスピリチュアル・マスターです。

彼は29歳の時、長期間に渡り自殺を考えるほどの鬱に悩まされていました。

しかしその後「内なる変革」を通して人生を変えるような至福を経験しました。

彼は特定の宗教あるいは伝統的な教義に属さない現代のスピリチュアルな指導者で、著書やセミナーを通じて苦しみから脱する方法について語っています。

 

この本は私の人生を変えたといっても過言ではないほど私の人生に大きな影響を与えています。私はこの本を読んで「目覚め」のプロセスが始まった一人です。

誤解のないよう申し上げておきたいのですが、私は悟りを開いているわけではありません!

この本は10章で構成されています。

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第1章 私たちはいますぐ進化しなければならない

第2章 エゴという間違った自己のメカニズム

第3章 エゴを乗り越えるために理解すべきこと

第4章 エゴはさまざまな顔でいつのかにか私たちのそばにいる

第5章 ペインボディ(私たちがひきずる過去の古い痛み)

第6章 「いまに在る」という意識が私たちを解放する

第7章 ほんとうの自分を見つける

第8章 内なる空間の発見

第9章 人生の目的は「何をするか」ではなく「何者であるか」

第10章 新しい地

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第5章「ペインボディ-私たちがひきずる過去の古い痛み」

※私が解釈した視点からお伝えしています。

 

思考の大半は自動的で反復的で意図したものではなく一種の精神的な雑音で明確な目的はない。意志を持って「考える」こともできるが大抵の場合はそうではない。

思考は「起こっている」、思考を選ぶことはできない。あなたは次にどんな思考がやってくるのか知ることはできない。

 

ゆえに、「私は考える」という表現は「私は消化する」「私は血液を循環させる」と同じくらい滑稽である。「消化」や「循環」は起こっているのであり、意識的に「消化」したり「循環」することはできない。

 

身体は知性によって完璧に調整されている。生命体の知性があなたの身体を営んでいる。知性は環境に対する反応も司どっていて脅威や挑戦にさらされると本能的に反応する。これは「感情の原初の形」と考えてもいい。

 

「感情の原初の形」は感情に似ているが真の感情ではない。

「感情の原初の形」は「身体の直接的な反応」であるのに対し、感情は「思考というフィルターを通した身体の反応」である。

 

例えば、「車を盗まれた」と聞いても何の感情も湧かないだろうが、その車があなたの車であれば慌てるだろう。「自分の車」という思考のフィルターが感情を生むのである。 身体はとても知的だが「実際の状況」と「思考の区別」をつけられない。

ゆえに「すべての思考」に反応する。

身体は頭のなかの声が語る物語を信じて反応する。この反応が感情生み出し、この感情が思考にエネルギーを供給する。この悪循環が「私の物語」づくりにつながっている。

 

場合によっては心より先に身体が反応して行動することもある。これは言葉にならない「無意識の想定」と呼んでもいい。「無意識の想定」の根源は個人の過去によって様々である。

 

ネガティブな感情をひっくるめて言い表す言葉がある。「不幸」だ。

とはいえ、ポジティブな感情が「幸せ」をもたらすかというとそうではない。

エゴが生み出したポジティブな感情にはすでに反対物が含まれていて瞬時に「反対」へ変化する可能性がある。例えば、称賛や承認を受ければ「いっとき」は幸せな気分になるだろうが非難や無視にぶつかると「拒否された」と暗い気持ちになる。

ポジティブな感情が「エゴ」から生まれているのか「大いなる存在」とつながった本来の状態から生じているのか区別する必要がある。

 

多くの人が過去を手放せないでいる、あるいは手放す気がない。

過去の記憶自体に問題はない。過去の記憶のおかげで過ちから学ぶことができる。

しかし、過去に関する思考に完全に支配され、それが重荷に変わったとき記憶は「問題」に変化する。

 

人間には古い記憶を長々とひきずる傾向があり、ほとんどの人は古い感情的な苦痛の集積を抱えている。これを「ペインボディ」と呼んでいる。古い感情を溜め込む習慣を打破し「いまに在る」状態を保つことで「ペインボディ」の拡大を防ぐことができる。

あなたが「いまに在る」ことを防げる過去の出来事など何もない。過去は何の力も持たない。

 

ネガティブな感情が湧いたときには、きちんと向き合い、受け入れ、そして手放すこと。この作業がなされなかったネガティブな感情は痛みを残す。その痛みが積み重なり、身体の全細胞で活動するエネルギー場をつくりあげる。

 

「ペインボディ」は非個人的な性格もあわせ持っている。

延々と続く部族間闘争や奴隷制、略奪、強姦、拷問、その他の暴力に彩られた人類の歴史を通じて数えきれない人々が体験してきた痛みもそこに含まれている。この痛みが今も人類の集団的心理のなかで生きていて日々積み重ねられていることは一目瞭然である。

 

まだ明らかになってはいないが、集団的なペインボディは多分すべての人間のDNAにコード化されているのだろう。人間はこの世に誕生する時すでに感情的な「ペインボディ」を持っている。その分け前の程度は人によって異なる。

 

ただし、軽いペインボディを持って生まれた子供が、重いペインボディを持った子供より霊的に進歩した大人になるとは限らない。それどころか逆の場合の方が多い。

重いペインボディを持った人たちの方が霊的な目覚めに達する可能性が大きい。多くは自分の不幸に耐えられないという段階に達し、それが目覚めの強い動機になる。

 

「ペインボディ」は人間の中に息づいている半自立的なエネルギー場で、感情からつくり上げられた生き物のようなもの。狡猾な動物のような原始的知性を持っていて、生き残るためにその知性を働かせる。そして、すべての生命体と同じく糧「新しいエネルギー」を取り入れなくてはならない。

 

感情的につらい体験は何でもペインボディの糧になる。ペインボディは「不幸依存症」なのだ。自分の中にネガティブな感情を求めるペインボディがあると気づくには「いまに在る」意識が必要だ。ペインボディには活動時期と休眠時期があり、休眠期がどれくらい続くかは人によって異なる。

 

ペインボディは空腹になると糧を補充するために目覚める。糧を補充しようという体制になっていれば、ほんの些細な出来事でも活動開始のきっかけになる。

ペインボディから発せられた感情があなたの思考を乗っ取る。心がペインボディに乗っ取られると思考はネガティブになる。あなたは頭の中のネガティブな思考に完全に自分を同一化し、その歪んだ考えを何もかも信じる。この時点で不幸への依存症が根を下ろす。

 

ペインボディは糧を補充するために周囲の人を挑発しようとする。他人のペインボディに抵抗するのはとても難しい。意識して「いまに在る」こと、「大いなる存在」と繋がることが求められる。

 

ペインボディに基づいた行動の結果は常に「被害者」と「加害者」の両方に及ぶ。

他人にすることは自分自身にすることなのだ。

 

この地上での悪行の犯人はたった一人しかいない。

それは「人類の無意識」だ。そのことに気づくことが「真のゆるし」である。

ゆるしによって被害者というアイデンティティは消え、真の力が生まれる。

真の力とは「いまに在る」という力だ。

闇を非難するよりも、光をもたらすべきなのである。

 

次回は第6章「いまに在るという意識が私たちを解放する」をお伝えします。